交渉人
交渉人とは、人質救出作戦などで犯人と交渉する警察や政府の担当要員をいいます。
国連専門職員にも交渉人がいて、世界平和維持のために、国際機関や首相などを相手に交渉を行うそうです。
交渉人は英語でいうとネゴシエイターで、アメリカのFBIの「人質救出プログラム」が発祥だといわれています。
日本では、2005年から専門の交渉人がおかれました。
1997年に公開された「ネゴシエイター(エディ・マーフィーさん主演)や1998年に公開された「交渉人(サミュエル・L・ジャクソンさん主演)」も有名ですが、日本で交渉人という言葉の認知度を一気に上げたのは、2005年に公開された「交渉人 真下正義(ユースケ・サンタマリアさん主演)」でしょう。
人気シリーズのスピンオフだけあって、大ヒットして、交渉人という言葉を一般人にもなじみのある単語にしました。
交渉人には、話術や観察力、心理学、行動科学、犯罪学の知識などが必要とされ、武力を行使できないため、危険も伴います。
それだけに、緊迫感のあるストーリーが作りやすいのか、交渉人をテーマにした映画やドラマ、漫画、ゲームなどがたくさん作られているようです。
最近のものでは、2008年放送の「交渉人~THE NEGOTIATOR~(米倉涼子さん主演)」が人気で、スペシャル版が放送されたり、第2シリーズの放送や映画化も決まっているのだとか。
ちょっと変わったところでは、2007年にディースリー・パブリッシャーから発売された「THE 交渉人(DSソフト)」や2009年にSCEJソフトウェアから発売された「銃声とダイヤモンド(PSPソフト)」もオススメです。
交渉術
交渉術を身につけるためには、交渉について知ることが大切です。
アメリカでは交渉学という学問になっているほど、研究されているテーマですから、まずは、交渉について学ぶのが交渉術を会得する近道だと思います。
交渉の際のポイントとして大切なのは、雰囲気や感情に惑わされず、「論理」的に行う、状況の把握や目的の理解、目標の設定、最初の提案がダメだった時や相手の提案が飲めない時の代替案、他の選択肢などの「準備」、交渉は単なる駆け引きではなく、なるべくお互いが満足できるような「協働(力を合わせて活動する)」だという意識です。
交渉の際に使える理論の中には、MET理論というものがあります。
Mはメリット、Eは感情、Tは脅しを意味し、この三つを上手く組み合わせることで、交渉を有利に進めるのです。
「メリット」は自分の提案を受け入れる利点をいろいろな角度から説明します。
「感情」は自分が感情的になるのではなく、相手の感情に訴えるという手法です。
「これ以上値引きしたら、倒産しちゃいます~。
」とか、「これだけ値引きするのは、○○さんだけですから、よそではいわないでくださいね!」みたいなセリフで相手の感情を揺さぶります。
「脅し」というとイメージ悪いですが、「今、注文するとこんな特典がつきます」など、期間限定の利点をちらつかせることです。
○○名限定とか、いついつまでの限定価格なんていうのも、この脅しに入ります。
交渉人に心理学や行動科学などの知識が必要なように、高度な交渉術を身につけるには、心理学や行動科学、話術などが必要なのです。
交渉のテクニック
アメリカでよく使われる交渉のテクニックをいくつか紹介します。
まずは、ものすごく有名な「グッドコップ(良い警官)バッドコップ(悪い警官)」。
これは警察の尋問などで使われる古典的な交渉テクニックで、一人が強気で責め、もう一人がなだめるような役割を担い、相手を懐柔します。
要するに、「北風と太陽」です。
古典的なだけに相手にバレやすくもあるので、注意して使った方がいいかもしれません。
「ハイボール」テクニックは、到底取れないような高いボール(要求)を投げ続けて、無理だといわせてから、取れるか取れないかギリギリの高さのボール(要求)を投げるというもの。
ハイボールテクニックを使うと、最初からギリギリの高さのボール(要求)を提示するよりも、相手が受け入れてしまいやすくなるようです。
ただし、到底取れないような高いボール(要求)を投げられたら、到底取れないような低いボール(要求)を投げることで対抗できます。
「最後のひとかじり」テクニックは、一旦、相手の要求を受け入れてから、さらに一つ条件を付け加えるという方法です。
他にも、「お化け(Bogey、もしくは、Bogey Tactics)」、「選択肢から選ばせる(weigh options、もしくは、Chicken)」、「先例にならう (Stare decisis)」などたくさんあるのですが、卑怯・・・といいたくなるようなテクニックも少なくありません。
こんなテクニックを使われるわけですから、日本人があまり交渉で勝てないのも納得です。