有機栽培 肥料
有機栽培に使用できる肥料及び土壌改良資材には色々な種類があります。
植物やその残さ(収穫した後の残骸)から作られるもの、家畜や家きんの排泄物を発酵させたり、乾燥させたりして作られるもの、食品工場などの副産物として作られるもの、有機JAS規定では熔りんや天然塩化加里なども含まれるのです。
植物性の有機肥料として代表的なのは、米ぬかや大豆油粕、ごま油粕、菜種油粕などの油粕でしょう。
動物性の有機肥料には、家畜や家きんとして一般的な牛、豚、鶏の糞や魚の粕などがあります。
牛や豚の骨、鮫の骨を原料にした骨粉も動物性有機肥料です。
魚の鱗から作る蒸製魚鱗やカニやエビの殻から作る甲殻類質肥料粉末も動物性有機肥料だと思います。
海鳥の糞や死骸、卵の殻などが蓄積してできたグアノや藻を乾燥させたものやその粉末、天然物質か科学的処理を行っていない天然物質に由来する木炭や泥炭、ゼオライトやベントナイト、パーライトなども有機肥料です。
ちなみに、有機栽培では全く農薬を使用できないわけではありません。
有機JAS規定に定められた農薬の使用は許されています。
例えば、除草菊乳剤及びピレトリン乳剤(共力剤としてピペロニルブトキサイドを含まないもの)、菜種油乳剤、混合生薬抽出物液剤、シイタケ菌糸体抽出物液剤やクロレラ抽出物液剤、天敵等生物農薬性フェロモン剤などが使えますが、いずれも定められた使用条件を守る必要があります。
有機栽培 野菜
有機栽培の野菜はおいしそうで安全なイメージがあります。
だからこそ、普通の野菜より高くてもわざわざそれを選んで買うのです。
でも、本当に有機栽培の野菜はおいしいのでしょうか?そして、安全なのでしょうか?2004年にミネソタ大学で行われた調査では、有機栽培で育てられた農作物の大腸菌群汚染率は9.7%(通常栽培の農作物の約6倍)だったそうです。
もちろん、充分に発酵していないたい肥が原因ですし、海外での調査結果なので、現在、国内で流通している有機栽培の農作物がどうかはわかりません。
でも、日本の雑誌が行った味比べでは、有機栽培の農作物よりも通常栽培の農作物の方がおいしいという結果が出ています。
つまり、農作物の味は、有機栽培かどうかよりも、その農作物の品種や育てられた環境、新鮮さなどの方が大きな要因になるということみたいです。
また、有機JAS認定を受けるのにはかなりの手間とコストが必要ですから、おいしくて安全な農作物を作り続けて、すでに消費者との信頼関係ができている農家ではあえて認定を受けないこともあります。
この場合は、有機JASマーク表示はできないわけですが、長年、消費者に支持される農作物作りをしてきているので、おいしさも安全性も確かでしょう。
その上、有機栽培認定を受けるための手間やコストを農作物の価格に上乗せしなくていい分、販売価格も抑えられます。
やみくもに有機栽培ならよくて、それ以外の栽培法で作られた農作物はダメだと決め付けるのはやめた方がよさそうです。
でも、有機JAS認定されていないのに、あたかもされているかのような誤解を招く表示をしている農家は信頼できないと思います。
有機栽培 表示
有機栽培表示をするためには、三年以上に渡って有機JAS規格に基づいた生産を行い、登録認定機関の検査を受け、認定されなくてはいけません。
無農薬というイメージがありますが、有機JAS規格に基づいた農薬であれば条件付きで使うことができますし、炭酸カルシウムや塩化カルシウムなどの無機肥料も使用可能です。
有機JAS規格に基づいた生産をすることだけなら、それほど難しくないかもしれませんが、有機JAS認定を受けることは容易ではないといわれています。
なぜなら、周りで農薬を使っていても汚染されないようにする配慮はもちろん、細々と生産の記録を作成し、毎年更新する度に認定費用と検査員の旅費や宿泊費用などを負担しなくてはならないからです。
天然の肥料や農薬であっても有機JAS規格で定められていなければ使えませんし、必要な手間や費用に対して得られるメリットが少ないと考える農家もたくさんいます。
プライドとこだわりをもって有機栽培や無農薬栽培をしている農家の中には、有機JAS法に対して反対を表明している農家もいますし、赤峰勝人さんが提唱している自然農法、バイオダイナミック農法などの循環農法は有機栽培よりもさらに優れているみたいです。
有機栽培表示をしている農家でもこっそり農薬を使用していた例もありますし、有機JASマークがついているかどうかよりも、その作物を栽培した農家が信頼できるかどうかの方が重要かもしれません。